保険の取り扱いについて
先日「保険治療は行っていますか?」というお問合せをいただきました。
整骨院をやってるとこういうお問合せが本当に多いです。
なのでここらできちんと確認しておきましょう。
整骨院で保険が使えるときというのは
・ねんざ ・打撲 ・肉離れ ・骨折 ・脱臼
このうち骨折と脱臼は医師の許可が必要です。
つまり「けが」のときのみです。
そのほかは全額自己負担となります。
柔道整復師は健康保険組合に書類を提出して後から保険の分のお金が入ってきます。
保険組合には症状を偽って報告するわけにはいきませんし、ちゃんと審査もあって稚拙な報告書ですとやり直しさせられます。
原因と症状に整合性がとれていないと嘘つきと判断されて
「事実を書いて出してください、それまでお金はだせません」となるわけです。
前述した保険治療の有無を聞いてくるような方は「安いマッサージ」を求めている方が大半です。
または肩こりや腰痛で安い治療を受けた経験があるのでしょう。
なので保険適用の症状の説明からすることになります。
私どもは捻挫や骨折、脱臼の簡易的な判別方法は心得ています。
また詳しい判断は病院の検査機器でないとでないものもあります。
一般の方にとっては診てもらわないとわからないことでしょう。来院される方は「痛い」「こってる」「病院ではこう言われた」ぐらいの判断で来られます。
なのでご自身の体が本当はどうなっているかわからないのに「保険つかえますか」と聞くのはおかしいです。
こちらとしても症状を聞いてけがであれば「使えます」そうでなければ「使えません」です。
しかし保険治療を求めている方というのは、こちらが理由を説明しても聞いてはくれません。
「そんなはずはない○○では使えたのに」と現実逃避しているのか、はたまた思考が飛躍して当院をおかしなところだと決めつけているのかもしれません。
なんにせよ「あなたのご希望にはそえません。」というところに行きつくので私の考えとのミスマッチがあったと判断してお帰りいただいております。
じゃあ他へ行くよという方、巡り巡ってあなたのためにもなりませんよ。
まず法律違反をさせているという認識を持つべきです。
保険組合は いつ どのようにして けがをしたのか明確にした書類でないと受理してくれません。
あなたがけがでない症状で行ったとします。
それを整骨院が 症状をでっち上げまたは拡大解釈して書類を保険組合に提出しようとします。
その際あなたと整骨院との間で口裏合わせがあります。
「あなたは○○日○○して捻挫という認識でいてください、でないと保険は通りません」
という押し付けが整骨院からあります。
異論は通用しません。あなたは建前を最後まで通す世界に足を踏み入れたわけですから。
「これ肩こりだろ」「いいえ、捻挫です」みたいな押し問答もあるみたいですけど。
これに異議を唱えるのならば「じゃあ全額払ってください」ということになります。
これをクリアしても少なくとも半年くらい先まで口裏合わせの内容をおぼえていなければなりません。
来院してから随分後に保険組合から確認の書類、または電話があなた向けにいきます。
その整骨院に行ったという事実を確認するための連絡です。
それも通常メモしていないと覚えられるはずのない事柄までかなり詳しく聞かれます。
通った日数、日付まで合っていないとアウト、治療した部位が合っていないとアウト。
ひっかけ問題もあります。
あなたの通院した理由はこりや筋肉疲労ですか?に○したらアウト→捻挫です
あなたのしてもらったのはマッサージですか?に○したらアウト
→柔道整復師のやることは厳密にはマッサージじゃないのです。捻挫、骨折、脱臼などで固定を長時間していると関節が固まって動かなくなるので患部に近い部分の筋肉は動かす必要があるんです。そのためのほぐしたり、運動させたりする「手技」です。
いんちきが多すぎてそこまでしないと信用できないのでしょうね。
これもあなたと整骨院が言っていることに隔たりがあると保険は適用されません。書類が整骨院に返ってきます。であなたに審査が落ちた旨の報告がいきます。
その場合でも整骨院と揉めてはいけません。整骨院側は記録を取ったうえで書類を提出しているわけですから。
優しい院でしたら保険を通すためだと言ってあなたに一筆書いてもらうことを要求してくるかもしれません。
あなたが「あのとき言った言葉は私の勘違いでした」というような内容を書いて再度提出です。
ドライな院でしたらあなたに全額請求してくるかもしれません。
整骨院からしてみれば「こっちが保険を通す工作をしているのにあなたがちゃんと演技をしてくれないから滞っているんだ」というような感じですから、茶番を終わらせたいと思われたらこうなります。大損ですからね。
もちろん許容範囲内の損でしたらあなたに連絡も行かず整骨院側の勝手に泣き寝入りで終わることもあります。
全てなかったことにするということです。
という感じにあなたが保険施術を要求した裏ではこんな建前の世界が繰り広げられます。
これを知らないで通っているとなんとなく利用されてる感があります。こちらが「このような内容を請求します」と説明しても「なんかわけのわからないこと説明されたけどまあ整骨院さんがうまくやってくれるだろう」ぐらいの認識でスッキリ感のないまま通っている方もいるはずです。
ご存知の方にとっては整骨院とのあうんの呼吸ですが。
ていうか普通やりますか?こんな茶番。
あなたが保険施術を要求するということは法律違反を助長している可能性もあるということですよ。
ただ請求が手間とか面倒くさいとかの理由で語っているのではないのです。
法律で禁止されてることはできないと言ってるだけです。
そもそもあなたの通っているところが潰れたらどうするんですか?ほかも同じようにやってくれるとは思わないことです。
私が柔道整復師の免許を取って就職する前はこんな実態があるは知りませんでした。
「こんなに法律でしばられて抜け道をぬうようなことをしてこの資格に存在意義があるのか」とさえ思いました。
でもけがをして来院される方も少なからずいるのです。
そういう人に対応するために保険を使えるようになるための手続きはしています。
けがの時は保険、そうでないときは自費くらいはおぼえてください。
適切な認識でのご利用をお願い致します。